河口俊彦著「大山康晴の晩節」

お盆休み中に読んで、大変深い感銘を受けた本。


平成4年に69歳で亡くなるまで順位戦A級を守り続けた稀代の勝負師は、常に高い目標を掲げ、それを達成するために全力を尽くす努力の達人であったことがとてもよくわかる。


若い時には木村義雄升田幸三に何度か痛い目にあわされる。
それも肥やしにして、年とともに進歩を続けた。
将棋会館建設に尽力したり、将棋連盟会長職に忙殺されながら、名人在位18年、タイトル獲得数80という前人未踏の記録を打ち立て、トップレベルを保ちながら、生涯現役を貫き通した。


打倒大山に燃えた山田道美との激闘の部分も、もの凄く読み応えがある。


何度も読み返したい、勇気をもらえる素晴らしい本がまた一冊増えたね。


できることなら少しでも棋譜の素晴らしさもわかるようになりたい、そのためには粘り強い努力を続けることが必要だね。楽しみながら。


追記
これはほかの本で読んだのだが、「将棋を強くなるにはどうしたらいいか」という森下卓の問いに、「小さなことの積み重ねが大事だよ。」と答えたという。そのときは気が付かないような小さなことが後から効いてくるというのだ。一歩一歩積み上げていくことが揺るぎない基盤をつくるという考えがよくわかるね。