読書

菜根譚語録その16 心を静かに楽しく保つ

「静かなところでしか保てないような心の静けさは、ほんとうの静けさではない。目まぐるしいところでも心を静かに保つことができるようになってこそ、本性の真の境地である。また、安楽な環境の中でしか感じられない心の楽しみは、ほんとうの楽しみではない…

気づかせて動かす

山口良治、平尾誠二共著『気づかせて動かす』を読んだ。 山口氏は、伏見工業高校ラグビー部監督を務め、平尾氏をキャプテンとして全国大会で初優勝するなど、何度も高校ラグビー界の頂点を掴んだ人。 平尾氏は、山口氏の指導のもと才能を開花し、高校、大学…

菜根譚語録その15 徳を備え心を澄ませよ

「身辺無事のときには、えてして心がぼんやりしがちなものである。そのようなときには、心を静かに落ち着けて、澄んで明らかな心で照らしていけばよい。また、身辺多忙のときには、えてして心がはやりがちなものである。そのようなときには、心を澄まし明ら…

菜根譚語録その14 よく書物を読む者は

「よく書物を読む者は、喜びのあまり小躍りするようになるまで読んで、そうしてはじめて文字の末に落ちずに、真意をつかむことができる。また、よく事物を見る者は、心がそれに融合し一体となるようになるまで観察して、そうしてはじめて事物の形に捕らわれ…

菜根譚語録その13 心はいつも空虚に

「心はいつも空虚にして、邪心をなくした状態にしておかねばならぬ。空虚であれば、道理が自然に入ってくる。また、心はいつも充実しておらねばならぬ。充実しておれば、物欲が入る余地はない。」 韓非子にも、 「心を虚しくしていれば、他者の心の真の姿を…

河口俊彦著「大山康晴の晩節」

お盆休み中に読んで、大変深い感銘を受けた本。 平成4年に69歳で亡くなるまで順位戦A級を守り続けた稀代の勝負師は、常に高い目標を掲げ、それを達成するために全力を尽くす努力の達人であったことがとてもよくわかる。 若い時には木村義雄や升田幸三に…

安岡正篤語録その6 朝食は食ったか

「偉大な修業などというと、どんな奇抜な人間離れしたことをすることかなどと思う人間は、まだ、何もわかって居らぬのである。尋常日用の工夫に徹するのが大修業なのである。大いに悟りを開こうと思って、先ず佛という偉大な者の秘儀をつかもうとあせって居…

菜根譚語録その12 低いところに安んじていると

「低いところに安んじていると、初めて、高いところに登ることが、いかに危険であるかがわかる。また、暗いところに慣れると、初めて、明るいところへ出ることが、あまりあらわれすぎることがわかる。これと同じ道理で、静虚をあつく守っていると、初めて、…

安岡正篤語録その5 真の教養 

「およそ真の教養とは、人類の有する偉大な著作に親しむことによって得るものです。そこで昔から優れた定評のある良い書物を少しずつ読むことであります。 人間としての教養の書、人としての哲学の書、修養の書というものを、注意して毎日たとえ三枚でも五枚…

仏道をならうというは

道元の「正法眼蔵」より。 「仏教の道を学ぶということは、自分自身を学ぶということであり、自分自身を学ぶということは、自分自身を意識しなくなるということである。 自分自身を意識しなくなるということは、自分自身が宇宙によって体験させられることで…

菜根譚語録その11 自己を反省する者 

「自己を反省する者にとっては、なにごとに触れても皆良薬となるが、人の過失をとがめる者にとっては、心を動かすごとに皆自分を傷つける矛となる。前者はもろもろの善行を積む路を開くものであるが、後者はもろもろの悪事を重ねる源を深くするものである。…

安岡正篤語録その4 思考の三原則 

「私は、物事を、特に難しい問題を考えるときは、いつも三つの原則に依るように努めている。 第一は、目先にとらわれないで、出来るだけ長い目で見ること。 第二は、物事の一面にとらわれないで、出来るだけ多面的に、出来得れば全面的に見ること。 第三は、…

菜根譚語録その10 幸福を招き寄せよう

「幸福はこちらから求めて求められるものではない。ただ楽しい気持ちを養い育て、幸福を招き寄せる用意をするほかはない。災禍はこちらで避けて避けられるものではない。ただ殺気だつ心を取り去って、災禍に遠ざかる工夫をするほかない。」 漢代の准南子にも…

安岡正篤語録その3 健康の三原則 

「第一に、心中常に喜神を含むこと。」 (神とは深く根本的に指していった心のことで、どんなに苦しいことにあっても心のどこか奥の方に喜びを持つということ) 「第二に、心中常に感謝の念を含むこと。」 「第三に、常に陰徳を志すこと。」 (絶えず人知れ…

人が一回でできるなら自分は百回しよう

「中庸」より。 「もし、人が一度でこれら(誠を身に備えること)をよくできるというならば、自分はこれを百回して達成しよう。人が十回かかるならば、自分は千回してものにしよう。そして真にこの修行をなし終えたならば、例え愚かな者でも必ず明知の人とな…

菜根譚語録その9

「世渡りをするには、先を争うとき人に一歩を譲る心がけを持つことが尊い。この自分から一歩を退くことが、とりもなおさず後に一歩を進める伏線になる。人を遇するには、厳しすぎないように、一分は寛大にする心がけを持つことがよい。この人のためにするこ…

安岡正篤語録その2 自ら反る 

「君子は自ら反(かえ)る。『自反』ということは、『論語』、『孟子』の根本精神といってよい。自ら反る、自らに反る。自分で自分に反る。例えば、つまずいてけがをした。「こん畜生!」といって石を蹴る人間がある、そういうのはつまらない人間である。つ…

中村俊輔「察知力」

ずっと天才肌のプレーヤーだと思っていたが、この本を読んでだいぶ印象が変わった。 もちろん、もともとフリーキックなど、天才的な技術はもっている人だと思う。 がそれだけでは満足せず、青年期の反省から、「得意なプレーだけに頼っていては置いていかれ…

目先の問題は、またとない教師 カールソン語録その2

Think of your problems as potencial teachers. 夕べに続いて、リチャード・カールソン「小さいことにくよくよするな!しょせん、すべては小さなこと」より。 「ストレスの増減は問題自体ではなく、問題にどう対処するかで左右される。それらを危機とみなす…

今、この瞬間を生きる カールソン語録その3

Learn to live in the present moment. またまた、リチャード・カールソン「小さいことにくよくよするな!しょせん、すべては小さなこと」より。 「昨日や昨年起きたこと、明日起きるかどうかわからないことに関係なく、あなたが生きているのはいまこの瞬間…

ほしいものよりもっているものを意識する カールソン語録その1

Think of what you have instead of what you want. リチャード・カールソン「小さいことにくよくよするな!しょせん、すべては小さなこと」より。 「もっともっとという願望は、それが手に入ったあとも繰り返され、いつまでたっても満足することがない。」 …

頭がよくなる論理パズル その1

本屋でおもしろい本を見つけ、さっそく読み始めた。 逢沢明の「頭がよくなる論理パズル」。 今日は、著者が論理学の基本中の基本と呼ぶ問題を紹介する。 「ハルコまたはナツコがぼくを愛している」 それでは、ハルコがぼくを愛していたら、ナツコはぼくを愛…

安岡正篤語録その1 座右の書

「心を打たれるような身に沁むような古人の書をわれを忘れて読みふけるときに、人間は生きるということは誰もが知る体験である。それを積んでおると次第に時間だの空間だのという制約を離れて真に救われる。いわゆる解脱をする。そういう愛読書を持つことが…

菜根譚語録 その8

「友人と交わるには、利害打算からでなく、少なくとも三分がたの義侠心を持ち合わせていなければならぬ。また、ひとかどの人物となるには、世俗に流されるのではなく、少なくとも純粋な一点の本心は残しておかねばならぬ。」 論語には、 「友達とのつきあい…

苦は楽しみの種 徳川光圀(伝)

水戸黄門で有名な徳川光圀は、第2代水戸藩主で、初代藩主徳川頼房の第3子。 笠原水道の開設などの藩政に尽力するとともに、史記に倣って、「大日本史」の編纂を開始した。 今日は、光圀の言葉を取り上げてみる。 1 苦は楽しみの種、楽は苦の種と知るべし…

人の人生は、重き荷を負うて

徳川家康の言葉。1 人の人生は、重き荷を負うて遠き路を行くが如し。急ぐべからず。 1 不自由を常と思えば不足なし。 1 心に望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。 1 堪忍は無事長久の基。 1 怒りを敵と思え。1 勝つことばかり知りて負くるを知ら…

フランクリンの「十三徳」

第一 節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。 第二 沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。 第三 規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。 第四 決断 なすべきことをなさんと決心すべし。決心したる…

遠くを見よ 

アラン「幸福論」より。 憂鬱な人に言いたいことはただ一つ。「遠くをごらんなさい。」 憂鬱な人はほとんどみんな、読み過ぎなのだ。 人間の眼はこんな近距離を長く見られるように出来てはいないのだ。 広々とした空間に目を向けてこそ人間の眼はやすらぐの…

六中観

死中活有 苦中楽有 忙中閑有 壷中天有 意中人有 腹中書有 せっぱ詰まった死の中に活がある。時には死んだつもりになって頑張りたい。 「身を捨てて浮かぶ瀬もあれ。」 苦しみの中に初めて本当の楽しみがある。 楽ばかりでは人を退廃させるだけ。 忙しい人の…

菜根譚語録 その7

「ひとかどの人物になるには、格別なにも高遠な事業をなさずとも、名利の俗念さえ払い落とすことができれば、それでもう名士の仲間入りである。また学問をするに当たっては、格別なにも学識を増しふやす工夫をしなくても、外物によって心が煩らわされること…